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 このところ「和」の要素を採り入れた家を求めるクライアントが増えています。何故今「和」に惹かれる人が増えているのか興味あるところです。いわゆる「和風」住宅というより、モダンでシンプルな家のどこかに「和」の要素が織り込まれた家が好まれるようです。ひところ洋風、西欧風と言われる家が流行した時期がありました。戦後の高度成長期に大量に建てられた家にはない豊かで洗練された住文化は人々に大きなインパクトを与えたからでしょう。バブル崩壊を経て近年「和」を見直す機運が芽生えているのはボーダレスになったことも一因ですが、社会が不安定になり、先の読みづらい時代になってきたことが一番の理由に思われます。自分たちのアイデンティティーを家に求める傾向が強くなる中で西欧からの借り物でない日本の文化や伝統を感じさせる「和」の表現が安らぎを与えてくれるのではないでしょうか。ヨーロッパの人たちが頑なに古い文化や街を守ってきたのも同じ理由からだと考えます。残念ながら私たちの身の回りにはもはやヨーロッパのような古い街並みはほとんど残っていません。20年そこそこで建て替えられていく国籍不明の家が並ぶ光景が広がっているのが現実です。私はそんな中でなんとか次の世代に引き継いでいける家をつくらなくてはいけないと痛切に感じています。
 今の日本人の文化や暮らしに合った家でありながら、流行に流されず将来も愛着をもって改装しながら住み続けられる家をつくるには、やはり長い歴史に培われた伝統的な「和」の要素を採り入れることがポイントになると思います。格子、障子、畳、内と外の融合する空間構成、建具で仕切られどんな暮らしにも対応できるフレキシブルな間取りなど、それらがデザインを生み出し、生活に変化をもたらします。