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インテリアショップをまわってお気に入りの家具や雑貨を家にかざったり、ガーデニングをしたり、対面式キッチンで家族の団欒を楽しんだり、、、。最近、住まいでの生活を楽しむ人が増えつつある。少し前まで、「家」は家族の暮らす場所、夫にとっては就寝の場、妻にとっては育児の場という要素が強く、多額の投資をする割にその場所そのものに対する意識や興味がむけられていなかったように思えるが、ここ最近になって少しずつ家を建てる人の意識が変わり、住空間が家族の生活を楽しむための重要な要素としてとらえられるようになってきたと感じられる。今回、この作品展で紹介する家は、子育てを終えた夫婦二人が住みなれたマンションを離れ、夫婦で趣味を楽しみながら暮らすことをコンセプトに計画された。
家づくりをするにあたって、まず夫婦の希望である眺望の良い土地を一緒に探しはじめたのだが、売地を数多く見てまわっても何かしら難が有り、これだという決め手のないまま半年近くが過ぎた。限られた予算のなかで好条件の土地を見つけるのは大変なことだと実感した。それだけに、ようやく見つけた土地への思いは強く、その土地のもつ魅力を最大限に活かしたいという施主とこちらの希望がプランにつながっていった。
この敷地は高台にあり西側半分が傾斜地で東側半分が平地という特徴をもつ。予算と眺望を重視することを念頭に、平地側に家を建て、西側の傾斜はそのまま残すことにした。眺望を楽しむため建物の西側に開口をたくさん設けることにしたが、夏の暑さ、冬の寒さを考慮して、1階には雨戸とよしず(伝統的な西日避けとして夏場には重用されている)を下げてもらい、2階にはLOW−Eガラス(太陽光線のなかで、可視光線を最大限に透過させ、赤外線を識別し、紫外線をカットする)を使用することで対応した。また、開放的で遊び心のある空間をつくるため、リビング上部に吹抜けをとりいれた。吹抜けで空間をつなげることは2階以上の建物を作る上で重要なポイントとなる。まず、空間の連続性がうまれることで、高いところから採光がとれるため明るい空間となり易い。また天井が高くなり伸びやかで気持ちの良い場所となる。その反面、冬の暖房効率が下がるという欠点もある。暖かい空気が2階へあがってしまうため暖房の効きが悪いので、この家は床暖房を採用し、天井扇を取り付けることでその欠点を補うことにした。常々省エネで暮らせる家をつくりたいと考えているのに矛盾がおこってしまうのだが、暖房の効きの悪さを考慮しても、小さい家にこそ吹抜けのもつ効果が発揮できると思う。
大まかな家の構想が決まり、細かい設備や部屋の仕様を決めていく段階にはいると、今度は要望と予算の折り合いがつかない。この仕事を始めて長くなるが、希望に見合う予算を用意できる人はほんの一握りにすぎない。多少予算のある人でもそれ以上の要望をすることが多く、それは当然のことかもしれないがその調整に多くのエネルギーを要する。家への思いは様々であるが、おそらく一生に一度しか建てない家に込める思いをなんとか実現したいという施主と、家づくりに携わる我々の双方が知恵を出し合うことも家づくりの醍醐味かもしれない。
土地を探し始めてから約1年半後、ようやく念願の家が完成した。天井の仕上げ、外壁の色、扉のつけ方などひとつひとつに夫、妻、設計者、施工者の様々な意見があり、ひとつの家として形になるまでに、細かいプロセスが積み上げられた。そのプロセスも、最初から完成した家を買うこととの大きな違いであろう。
完成を祝って、施主の友人でヴィブラフォン奏者の方がホームコンサートを開催してくれた。新居の披露を兼ねてこの催しは行われ、たくさんの友人が集まった。吹抜けを介してヴィブラフォンの音色が家中に広がり、集まった人々を楽しませた。リビングに面する畳の上で鑑賞する人、吹抜けの上から鑑賞する人、オープンな間取りだからこそできる楽しみ方であった。
家づくりをする以前、住み慣れた場所やライフスタイルを変えることに奥さんは抵抗があったようだが、現在ようやく新居にも慣れ、庭や外構に手を加えたり、家具を揃えたりしながら新しい生活を楽しんでいるご様子。主寝室前にある広めのバルコニ夫婦ふたり食事をとったり、2階からの景色を眺めながら読書をしたり、今までとは違った暮らし方も新しい発見があって新鮮なのではないだろうか。これからも、夫婦ふたりで住生活を豊かで楽しいものにしていってほしいと思う。 |
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